長い間、ご無沙汰いたしました。女将です。
5月28日、祗園みずおかは4周年を迎えました。
ひとえに、皆様のおかげです。
本当にありがとうございます。本来もっと早くにご挨拶すべきなのに心よりお詫び申し上げます。
4周年を迎える少し前、私達と滋賀のお店からずっと可愛がって下さっていたお客様の悲報が入ってきました。遠くへお引越しされていたので、早々予定を立てて来られる方ではないのですが、珍しく、来週あたり行くからと帰りに言われていて、私も心待ちしていました。しかし、突然風のように、事故の悲報が入ってきたのです。引っ越されたお客様なので、いつなのか、なぜなのか、どこなのか、とうとうお別れができませんでした。
「いつも突然でごめんね、ありがとうね」
最期の言葉です。物知りで、物静かで・・・私達は本当にお礼を言いたかった。
お別れができなかったのが、辛くて辛くて、仕方がないのです・・・。
時を同じくして、開店した年の祗園祭りにご縁をいただき、毎月毎月来ていただいたお客様と連絡が途絶えました。
その方もいつも優しく笑っている方で、たくさんお話してくださいました。
「女将さん、困ったよ。僕は今まで、何でも食べれたらいいと思っていたけれど、ここに来て口が贅沢になっちゃった!」
お客様はマイ包丁を持っているくらいだったので、お料理はお好きだったと思います。
「ぐじが食べたい、大将、夜の懐石が食べたい、テレビで見たこんなのが食べたい、大将、包丁がうまく研げない、」等よく質問もされていました。
女将とも一緒に都をどりを見に行ったものです。御朱印を集めていらっしゃいました。時々、お身体の具合が悪くなる事は知っていました。
遠くを見ている静かな眼差しと優しいがゆえの苛立ちと、抗う小さな心の波が大きな病を抱えていた義兄と似ていたので少しわかっていました。
南座の前まで送って行った最後の時、「悲しまないでね」って小さく言われました。いつものように「またね。」とおっしゃいませんでした。
「祗園祭りはね、初めて頼んだ早籠弁当を食べて記念日にするんだ」って、もうすぐ5回目の祗園祭りです。
私達はただの料理屋です。一期一会の言葉の重みを感じました。
静かに迎えた4周年・・・こんな気持ちは書いちゃいけない。思えば思うほどペンが握れません。
外国人で賑わう花見小路、反対に飛び込みのご縁がほとんどなくなった西花見小路、静かな店内、女将は寂しくて前に進めませんでした。
それでも、少ないお客様が何故か毎日約束のように言うんです。
・3年ぶりなんです、覚えてますか?
・開店した年に来ました。
・いつかバイク見てもらったものです。両親と来ました。
・僕、東京に行きます。
・女将さん、飲みたいお酒手に入ったから持ってきたよ。
・私の好きなお菓子送るわね
・初めて来たけど、ずうっと気になってたお店なの
毎日、毎日一人しかいないお客様の時も声をかけていただきました。
寂しかった気持ちが皆様の温かい声でふんわり包まれていきました。
いよいよ祗園祭り、昨日忘れていた、我慢していた涙が堰を切って流れ、たくさん泣いたら、ようやく今日ペンがとれました。
だから来年しっかり5周年を迎えることができるよう心します。
一期一会を心します。
私達はまだまだ力不足かと思いますが、祗園だから、観光客相手だから等と思ったことはありません。思えるはずもありません。
不器用な生き方はしていますが、おもてなしの心は忘れていないつもりです。
例え、失敗しても嫌われても、凛として生きたい。それが私の願いです。
もうブログには弱音は吐きません。本当にごめんなさい。
未熟な女将はあと何回脱皮して、立派な祗園の女将さんになれるのでしょうか。
脱皮したら細くなるはず。女将はこんなにくよくよしたのになんか太ってしまいました。
5周年からの女将ナビは食材や御料理の写真を頑張ってもっと撮ってみたいと思います。
では次回、元気になった女将ナビを楽しみにお待ちください。
2015.07.14